# 001
MAI NAMIKI
August 08, 2014
August 08, 2014
ー オフの過ごし方は?
学生時代は毎日活動でオフという概念はなかったですね。今はやりたいことを仕事にできているので、ゴロゴロしたり、美味しいものを食べたり、映画を見たり。好きな映画は『ブラッド・ダイヤモンド』、あとはドキュメンタリー系が多いです。一緒に過ごす友達は仕事や大学だけではなく、SNSで知り合ったり、友達の紹介だったり、カフェの常連同士だったり。生活を仕事と家の往復だけにはせず、コミュニティを広く持つようにしています。人生は人との出会いで変わりますから。
生まれてくる子どもには両親とも好きになってもらいたい、妻としては、相手にとって人生の良い脇役でありたい
ー 私も中東との縁や興味が広がったのは、並木さんと出会ったのもひとつのきっかけです。
じゃぁ出会いということで、ご結婚についてのお話を伺いたいと思います。まずはご結婚、ご懐妊おめでとうございます。
ありがとうございます(笑)今7ヵ月に入ったところで、子どもの重さは600~700グラムくらいです。あと3か月で4倍になるなんて信じられない…。
旦那は私の一つ下で、もともと大学卒業後に入ったクリック募金会社のインターン時代の後輩でした。最初は「暗いし仕事できなさそう…」って思って正直ちょっと見下してました(笑)。その後、彼が他の企業に就職して2年くらい経ってから再会して、いろいろと話をしていくうちに、いつの間にか相談ができる対等な関係になりました。言葉の温度が似てるなって。そのとき、たまたま私の友達が事故で亡くなったのですが、大きなショックを受けている私の話を、彼が親身に聞いてくれて。それがきっかけで付き合うことになりました。それまでは、いわゆる国際系女子(?)にありがちなんですが、「私は一人で好きなように生きていこう!」という気持ちがあったんです。でもやっぱり心の支えになってくれて、楽しいことも苦しいことも分かち合える人がいるほうがいい人生だなって、そう思いました。友達の事件を経て、自分はそんなに強くないんだってことが分かりました。
そうそう、婚約後に彼が鬱病にかかったんです。彼は自信を失って悩んでいましたが、私は生活を安定させてこそ彼を支えられると思って婚姻届を提出しました。鬱病の人と暮らすのってやっぱり大変なんですよ(笑)。当然のことを当然のように求めてはいけないし、求められると本人が辛くなるから。でも段々回復してきて今は毎日楽しいですよ。
7月初め出産予定です。性別は生まれるまでは知らないでいくことにしました。名前はそろそろ考えようかな。産休は産む前半月、産んだ後2か月とろうかなと。
ー 出産を控える今、妻として母としての夢や目標はありますか?
まず親としては、子どもがお父さんとお母さんをどちらも好きと思ってもらえる親になりたいなぁと。子どもは言葉にしなくても、自分は両親の子どもだという認識はあるから、どちらかを嫌いだと、自分も嫌いになってしまうと思うんです。
私は人間として完璧じゃないから、完璧じゃない部分も含めて好きだと思ってほしいですね。方法はこれから考えていきたいです。
あと、旦那が中国人で中国と日本の国際結婚なので、両方の国に対してフェアでありたいと思っています。子どもがいずれどちらかの国籍を選ばなければならない日が来るから、その時にどちらの国も好きでいてほしいですね。
妻としては、お互い依存し合わない、相手にとって人生の良いわき役でありたい、いや準主役くらいかな(笑)
あと我慢し合わないこと。できれば毎日一時間ずつ話さないとお互いの距離が広がるから、子どもができても対話を続けていくことが大事だと思います。
この人を支えたいという具体的な思いがないと本当の支えにはならない。
ー 国際協力に興味がある人、その分野で働きたい人にメッセージをお願いします!!
自分が何とかしてあげたいと思う人の顔をイメージできることが大事だと思います。漠然と「どうにかしたい」ではなく、ちゃんと歩み寄ってみて、「この人を支えたい」という思いがないと本当の支えにはならない気がします。もし気になる場所があればまず行ってみてほしいです。
即戦力の世界なので、まずはインターンでもいいからその世界に飛び込んでほしい。ダメなら自分で立ち上げる気持ちで!
ー 並木さんにとって理想のライフスタイルとは?
理想のライフスタイルかぁ・・・モットーにして生きてるのは「無関心を恐れよ」という言葉かな。
"Do not fear your enemies. The worst they can do is kill you. Do not fear friends. At worst, they may betray you. Fear those who do not care; they neither kill nor betray, but betrayal and murder exists because of their silent consent."-Bruno Jasienski
敵を恐れるな。最悪の場合でも、彼らは君を殺すだけだ。
友人を恐れるな。最悪の場合でも、彼らは君を裏切るだけだ。
無関心な人々を恐れよ。
彼らは殺しも裏切りもしないが、全ての裏切りと殺人は、彼らの沈黙の同意で成り立っている。
どんな形であれ、誰かの関心を作り出せることは私にとってとても大事なライフワークだと思うので。
もうひとつは、「なりたい世界を自分で体現すること」
例えば子育てしやすい社会を求めるなら、自分でまず行動することかな。電車で泣く知らない子どもをあやしたり。相手にしてほしいことを、まず自分からするようにしています。行動に起こす人は、本当は「他人のため」ではないんじゃないかって。むずむずしたら自分のためにやればいんじゃないかと思います。
ー 私はオンオフの切り替えでモチベーションをあげますが、並木さんはその切り替えはありますか?それとも趣味を仕事にしているような感覚でしょうか?
仕事のなかでも事務作業は仕事と割り切っているけど、大きな意味でやりたいことや面白いことはないかと仕事時間外も常に考えています。ワークライフバランスが気になるのはこれから子どもが生まれてからかもしれませんね。
ー 関心をもつ人が日常からできる具体的なアクションはありますか?
チャリティーは難しいと思われるかもしれないけど、海外では自分の好きなやり方で寄付金を集める「コミュニティー・ファンドレイジング」が普及しているので、問題意識があるならば何か行動に移してもいいんじゃないかと思います。例えば、職場に手作りお菓子を持っていって1個10円で売って寄付に回すとか、フリーマーケットの収益を寄付するとか。
私、行動を起こす人は、本当はその行動は「他人のため」ではないんじゃないかって思っています。自分がすっきりしたり、楽しいと思ったりするからやっていて、それを理解していないで「誰かの為にやってるんだ!」って信じ切ってる人は逆に危ないんじゃないかと思うくらい。相手が本当にそれをして欲しいかなんて、分からないじゃないですか。
むずむずしたら自分のためにやればいいんじゃないかと思います。たとえ型破りだったとしても、自分でそれが良いと思ったり、周りが賛同してくれれば良いと思います。
(了)


並木 麻衣MAI NAMIKI
PROFILE
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1984年生まれ。イラク戦争のニュースを見て「紛争下でもたくましく生きる人々の素顔を探しに行きたい」と思い、大学でアラビア語と平和構築を専攻。在学中の 授業でテーマになった”紛争地”パレスチナで暮らしてみたくなって、2006年から1年間、留学生としてパレスチナ・イスラエルへ。現地に友人が増え、紛争の両側で生きる人々が抱える問題に触れるにつれて「日本からできることは何だろう」と悩みを深めながら帰国。大学卒業後はIT ベンチャー、レストラン、経理分野、大学などで働き、2013年7月より現職。人々の等身大の姿と体温を伝えたいと願いながら、日本とパレス チナの人々が繋がる事業を目指して日々奮闘中。