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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 007
KENJI SEKINE
September 15, 2014

r-lib | 豊田 麻子 × 関根 健次 人と人を繋いで社会の課題を解決

GENRESArrow国際協力環境

人と人を繋いで社会の課題を解決

ユナイテッドピープル代表の関根健次さんは、ワンクリック募金や社会派映画の配給を通じて社会をより良くしていこうと活動しています。その原体験など、貴重なお話を伺ってきました。

Reported by Asako Toyoda


— 早速ですが、現在はどのような活動をなさっていますか。
 
 ユナイテッドピープルという会社をやっています。ユナイテッドピープルという言葉には、人と人をつないで社会の課題を解決していきたいという思いが込められています。人はみんな一人一人特別な力を持っているわけで、それは職業じゃなくても趣味でも力を持っているし、学生でもなんらかの力を持っています。そういう一人一人の力を重ねていくと、どんな社会的な課題も解決できるんです。自然災害でない限り、戦争など様々な問題は結局人間自身が作り出しているので、だからこそ人間自身が解決できると思うんですね。それをみんなの力でやろうというコンセプトで会社を経営してます。



これまでに1億1千万円くらい寄付しました


— それは素晴らしい考えですね。

 結局僕自身も始める前は自分の力なんてたいしたことない、大きな問題に対して何ができるんだろうと無力感を感じた時期もすごくあったんですけど、1人が10人になって、10人が100人になって、1万人になって10万人になるとやっぱりそれなりの力になってくるんですね。簡単な例でいうと、レジ袋の必要の有無。最近では有料になったりマイバックが当たり前になったりしたのは、やっぱり誰か1人の主婦が気づいて始めた事だと思うんですね。なんで私達は買い物の度にレジ袋をもらって、捨てちゃうんだろうって。それが1億人、10億人分となると大量のゴミになる。レジ袋要らない運動を1人の主婦が始めて、周りの主婦仲間に呼びかけ始めたことによってゴミが減り、またその地域のスーパーマーケットは、減ったレジ袋のコストの分原価も安くでき、実はみんながハッピーになる。それってやっぱりたった1人の誰かが始めて、力が合わさった事によってできた事ですね。
 ユナイテッドピープルはそれをより力が集まりやすい仕組みにし、クリックから世界を変えれる、寄付のサイトを作りました。(*1)例えばレジ袋運動をやっているおばちゃん達がいるんだとか、そういう気付きや発見に対して、クリックだけでその活動をするNGOやNPOに寄付が出来るんですね。買い物のポイントで寄付が出来て、その寄付の対象は、地雷除去・カンボジアでの学校造り・難民の為にテントを贈るなど、本当に様々な活動に寄付ができます。それも1クリック1円の寄付なんですね。100万人がクリックすると100万円になる。これまでに1億1千万円くらい寄付しました。

(*1)…「イーココロ!クリック募金」(2004年8月開始)

一人一人が、自分たちには発言する力があり、権利があり、その力が重なった時に戦争は止められるし、物事は変えられるんだって事を信じて欲しい


— すごい!!1クリック1円がそんな額になるんですね!!

 それこそがみんなの力で、1人の力では決して出来ないことでした。ただそういう寄付のサイトを始めて何年か経ち、寄付金だけでは足りないと思ったんですね。というのは、常に問題は発生するし、せっかく学校を造り発電所を造り、橋を造っても、空爆1発で全部吹っ飛んでしまうんですね。ということは、お金が無尽蔵に必要になってしまうわけです。そうすると、やっぱり空爆をする人を止めなきゃいけないし、戦争・紛争を止めなきゃいけない。それは政治であり、政治イコール国民であり、国民イコール一人一人なんですね。だから一人一人が、自分たちには発言する力があり、権利があり、その力が重なった時に戦争は止められるし、物事は変えられるんだって事を信じて欲しい。
 というわけで、寄付の次にやったのは署名活動なんですね。コンセプトは寄付と同じです。1人の声はなかなか届かないけど1万人、10万人の声にすると「国民の声」になり届いていく。そこで、インターネットで署名活動が出来るツールを作りました。(*2)
 実はこのサービスはもうストップしてますが、まさにユナイテッドピープル、力を合わせて、というものでした。そしてその次にやり始めたのが、映画の配給事業。現在の活動の主軸になります。

(*2)…オンライン署名サイト「署名TV」(2008年3月開始。現在はサービス停止中。)


— なぜ映画の配給をやり始めたんですか?

 誰かが何かをしたいと思うきっかけって、必ず体験なんですよね。小さい頃こういう体験をしたとか、海外旅行で貧しい子供たちを見たとか、そういう現体験がある。だから森を増やしたい、子供達に教育を与えたい、難病に苦しんでいる子供を救いたいとか思うようになる。やっぱり自分の体験があって活動が出てくるんです。でも誰も彼もが旅行できたり望むような体験をできるわけでもない。映画は、そういうことの疑似体験が出来るんです。映画はストーリーが心に浸透し、悲しんだり、怒ったり、幸せになったり、ストレス発散したり、と人の心を動かす力があります。そういう映画の力を使って社会の事を知って行動して欲しい。そしてその行動していく一人一人がつながっていく。映画を道具にして、まずみんなに知って欲しい。そして知ったみんなが繋がって欲しい。そういう思いで映画の配給事業をしています。





何もやってないから何も出来てないんだ。何か始めて、そこから改善していこう。



— 今お話を伺っていると、目的は一つなんですけど、すごく幅が広い感じがします。先程、何か始めようとしても1人の声はなかなか届きにくい、最初に自分も踏み出せない時があったというお話をされてましたが、ここまで来るのに、何がきっかけで踏み出してみようって思われたんですか?

 僕自身の現体験って紛争地なんですね。学生時代にガザ地区という紛争地に入って、紛争で今日明日普通に生きてる事が奇跡みたいな状況の中で傷ついた人達に出会いました。時折空爆もあるし、時折家を破壊されて、時折自分の家族が殺されていく。そういう状況の中の人達と出会って、何か植えつけられたというか、自分は日本人として平和な国に生まれて何か出来るんじゃないか、何かしたいなって思ったのが最初のきっかけというか、現体験ですね。
 ただ、何か出来ると思ったけど、地球の反対側の中東ガザ地区の紛争に対して、ちっぽけな1人の日本人が地球の裏側から何が出来るんだろうという疑問をずっと抱いていました。そして2003年に同じ中東でイラク戦争が始まろうとしてたんですね。かつて行った中東で新しい戦争が起きようとしていて、その戦争の理由というのがどうやら嘘っぱちの理由で、無実の人達の頭上に爆弾が降ってきて、多くの罪のない人達が殺されていく。そこに僕自身は傍観してはいられなかったんですね。やはり自分が中東に行った事があり僕の触れ合った人達と同じようにまた、苦しみを抱える人がイラクという場所で増えてしまう。その時、どんなに自分の力が小さくてもやれる事はほんの少しでもある、とにかく見なかった事には出来ないと思いました。何もやってないから何も出来てないんだ。何か始めて、そこから改善していこうと。
 出発点は、新たな戦争が起きるという現実に直面して、その大きな問題に対して何もなさずにはいられなかった、焦燥感、あと怒りですね。本当に戦争ってむごく一方的なもので、当時イラクは大量破壊兵器があると言われたけど、結局そんなものは存在しなかった。それなのに罪のない市民が10万人以上も殺されました。日本政府も自衛隊を送り、当時は正しいと信じこんでいた戦争が、やはり一部の憶測通り正しくなかったと。11年前の当時はまだ僕自身も20代で、首相官邸前でデモをしてみたり、怒りのあまりイラクまで行き現実を見て伝えてやろうと思い国境まで行きましたが、その国境を超えると本当に死ぬかもしれないと思い引き返しました。

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関根 健次

関根 健次KENJI SEKINE

PROFILE

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ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役
一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事
ピースデージャパン 共同代表

1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒。本名関根健次。2002年にユナイテッドピープル株式会社を創業し、世界の課題解決を目指す事業を開始。募金サイト「イーココロ!」を運営。2009年から映画配給事業を開始。2011年から一般社団法人 国際平和映像祭を設立し国連が定めたピースデー9月21日に合わせて国際平和映像祭を主催している。2011年4月にNGOエクマットラと共にストリートチルドレン支援目的のレストラン「ロシャヨン」をバングラデシュ、ダッカにオープン。2013年よりピースデージャパン共同代表。著書に「ユナイテッドピープル」。2014年4月17日「号」を青龍とした。

受賞歴
2011年 iSB公共未来塾 横浜地区 第3回社会起業プランコンペ最優秀賞
2011年 iSB公共未来塾 最優秀賞(全国)
2007年 イーココロ!事業にて第2回「ソーシャル・ビジネス・アワード」 にて マイクロソフト奨励賞受賞。

ミッション
・人と人をつないで世界の課題解決を!(ユナイテッドピープル)
・核の廃絶(核兵器、原発)
・すべての人が共に幸せに生きることのできる社会の構築

宗教観
神道、仏教

趣味
狩猟採集民的なこと(釣りや潮干狩りや畑やキャンピング)。

by 豊田 麻子
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