June 03, 2015
GENRES文化
連帯とは何か 映画『サンドラの週末』
カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを2度も受賞している世界的巨匠ダルデンヌ兄弟。最新作『サンドラの週末』のために来日した際にお話を伺ってきました。工場で働く主人公の女性サンドラは、長期療養から復帰する直前に他の従業員へのボーナスと引き換えに解雇を言い渡されてしまいます。従業員同士の投票に向けて解雇の撤回を支持してくれるように説得してまわるサンドラですが、自分のボーナスと引き換えに彼女を復帰させるかどうか従業員の中でも意見が割れて・・・
サンドラ役のオスカー女優マリオン・コティヤールは、この作品でもアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたという注目の映画です。
Reported by Sayumi Higashi



映画には観客の中で何かを動かす力を持っています



ダルデンヌ 兄弟Dardenne brothers
PROFILE
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1951年4月21日に兄のジャン=ピエールが、1954年3月10日に弟のリュックがリエージュ近郊の工業地帯で生まれた。ジャン=ピエールは舞台演出家を志してブリュッセルへ移り、兄弟は同地で出会ったアルマン・ガッティに影響を受けた。その後、原発で働いた資金で機材を購入。1974年以降、都市計画などの社会問題を映したドキュメンタリーを製作した。1978年、初監督作品となったドキュメンタリー『Le Chant du Rossignol』を発表。その後も様々なテーマでドキュメンタリーを製作した。
1987年、ルネ・カリスキーの戯曲を基にした初の長編劇映画『Falsch (ファルシュ)』を発表。2作目の『'Je pense à vous (あなたを思う)』(1992年)は製作サイドの圧力により満足した完成は果たせなかった。1996年、束縛されない環境で製作した3作目の『イゴールの約束』を発表。第49回カンヌ国際映画祭の監督週間部門に出品されるなど、世界的な注目を集めた。
1999年、『ロゼッタ』で第52回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。主演の新人エミリー・ドゥケンヌにも同映画祭女優賞をもたらした。
2002年の『息子のまなざし』では常連俳優のオリヴィエ・グルメを初めて主演で起用し、第55回カンヌ国際映画祭男優賞をもたらした。
2005年には『ある子供』で2度目となるカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。同賞を2度受賞した5組目の監督となった。
さらに2008年の『ロルナの祈り』は第61回カンヌ国際映画祭で脚本賞、2011年の『少年と自転車』は第64回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞、映画祭史上初の5作品連続の主要部門受賞を達成した。
2014年、マリオン・コティヤールを起用した『サンドラの週末』が第67回カンヌ国際映画祭に出品された。主演のマリオン・コティヤールの演技は絶賛され、全米映画批評家協会賞主演女優賞やニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞などアメリカの批評家協会賞などの映画賞を多数受賞し、第87回アカデミー賞では主演女優賞にノミネートされた。