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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 025
JIRO ITO
May 04, 2015

r-lib | 李 雨瀟 × 伊藤 次郎 「死にたい 助けて」宛先の無い叫びに宛先をつくる

GENRESArrow福祉

「死にたい 助けて」宛先の無い叫びに宛先をつくる

伊藤さんは各地で一般向けの講演や研修などを実施しているそう。活動から得た経験や知識を伝えていくとともに、自殺は弱い人がするものというような偏見がまだまだあるので少しでも取り除いていきたい、と仰っていました。

Reported by Yuisho Lee


- どこに向けていいかわからない想いを打ち込んでいるって事ですか?

 きっと、誰にも打ち明けられないけれど、あまりにも苦痛だから、思わずスマホで検索エンジンに打ち込んでしまったのかもしれませんね。あとあと聞くと、ほとんど無意識で打っている人もいるようです。


検索エンジンを使うと、宛先がなかった叫びに宛先をつくることができる


- 助けてと言ってる時点でまだ死にたくないってことですもんね。

 100%死にたい人って究極的にはいないと思うんです。死の直前まで生きたいって気持ちと死にたいって気持ちの間を揺れ動いてるんです。自殺方法を調べてる人も、来週死ぬって考えてる人も、どこかで生きたいと思う気持ちがあると思っています。
 自殺を考えているというのはなかなか打ち明けられない事ですが、検索エンジンを使うと、宛先がなかった叫びに宛先をつくることができる。だから自殺方法を調べた時に、検索と連動した広告を使えば彼らに出会えると思いました。そう思いついた2週間後にはこの仕組みを作り、活動を始めていました。今は自殺予防の研究者にもご協力をいただき、これらの相談活動をより洗練しようとしています。








- 凄く良いアイディアですね。検索結果からのメール相談って今までになかったと思うんですけど、大変ですよね?どういうことで苦労されてるんですか?

 メールって一度アドレスを教えたら基本的に24時間365日送れますよね。だからメールだといつでも送れるので相談者にはものすごくメリットがあるんです。しかし受け取る側はずっと対応しないといけないので大変です。基本的に24時間以内に返信しています。初回メールだったらすぐに返します。今、取材中にメールが来たら、取材を中断して返信します(笑)。


ー そうですよね。夜中にメールがきて朝起きてみたら・・・っていう可能性も・・・

 可能性はなきにしもあらず、ですね。だから常に緊張状態にさらされています。活動を始めた当初は、すぐ体にきましたね。複数の人に同時に「死にたい、助けて」と言われ続けることって普段の生活はおろか、対人援助職でもなかなか経験ないですからね。





ー 凄い・・・私にはできません・・・でもそれだけ常に死の問題に直面していると、精神的に強くないとどんどん引きずり込まれていったりしないですか?精神を保つために何かしてることはありますか?

 良く聞かれるんですけど、特別なものは、ないですね・・・あるとしたらとにかく睡眠時間を必ず確保するという事でしょうか。そもそも覚悟を決めているというのもあると思います。


ー 「今から死にます」みたいな状況を常に覚悟してるということですよね・・・

 そうですね。緊急性が高い時、メールではなくて電話をすることもありますが、そういう時はこちらも覚悟を決めますね。逆にそうじゃないと冷静に対応できないからです。今までは、電話している最中に亡くなった方はいません。仮に自殺をしようとしているような直前でも、3時間くらいかけて話をきくと少し気持ちが落ち着いて、中断する場合があります。








後半部分は5月8日に更新予定です!!ご期待ください!!


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伊藤 次郎

伊藤 次郎JIRO ITO

PROFILE

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伊藤次郎(Jiro Ito)
NPO法人OVA 代表理事
学習院大学法学科卒業

 メンタルヘルス対策を企業に提供する人事コンサルティング会社を経て、都内精神科クリニックにて勤務。主にうつ病で休職しているビジネスパーソンの復職支援を行った。2013年6月末に若者の自殺が増加傾向にあることにに問題意識が芽生え、マーケティング・テクノロジーの手法で自殺ハイリスクの若者のリーチしようと「夜回り2.0(InternetGatekeeper)」の手法を開発・実施し、2014年7月にNPO法人OVAを設立した。

by 李 雨瀟
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