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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 021
RYUICHI YOSHIOKA
February 03, 2015

r-lib | 堀内 美乃 × 吉岡 龍一 農業は人間が生きる上で一番シンプルな営み

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農業は人間が生きる上で一番シンプルな営み

学生時代にインドの治水構築プロジェクトに関わっていたという吉岡さんは、日本人の生活は本当に豊かなのかと疑問に感じるようになったそう。そこで国際協力よりも、日本で日本人らしい生活をすることを考え始め農業の道へ。畑を耕すことで、自然を崇拝し調和した生き方を目指す。

Reported by Yoshino Horiuchi





ー 体験農園もやっているみたいですね。どういったものなんですか?

 柏市にある鷲野谷という集落で畑をやっているんですけど、世帯でいうと200世帯ぐらいの集落です。もとをただせばみんな農家の農村集落なんですけど、今農家をやっているのは25~30軒ぐらいです。そのうち、後継者がいる農家は5,6軒ぐらいなんですよ。どんどん畑が余って荒れてきて、問題になっていて、それをどうにか解消しないといけない状態なんです。畑って1枚の畑でも所有者がバラバラなことがよくあるんですよ。だからここは使えるけど、ここは使えないみたいなことがあります。でもそういう状況は置いといて、集落ごとに畑をまとめて、市民の人に貸そうということになりました。うちの集落では体験農園をやることになり、市民の人に畑を区画ごとに区切って貸しているんですよ。30組から40組くらいの人が借りていて、週末はそういう人たちが体験しに来て農家が指導しています。



わしのや農園では、農家が市民に野菜の育て方を指導している


ー その区画は自分で育てて、収穫するところまでできるっていうことですか?

 そうですね。市民農園は結構あるじゃないですか。市民農園というのはただ単に大きい畑を割って個人に貸すから、育てるものもバラバラだったりするんですよ。それは借りる人にとっては自由にやれるからいいんですけど、素人なので途中で諦めて終わっちゃうケースが多いんです。だけど、うちの場合は育てるものは農家が決めて、作り方とかも全部指導するんですよ。蒔く時期や水をあげる時期、収穫する時期などを週末に講習を受けてもらいながら育ててもらいます。理想的にはそこで何年か経験した人が別の畑を借りて、農家とまではいかなくても、土地を耕す人になれたらいいな、と思っています。


ー そこの畑では何がつくれるんですか?

 今の時期やるんだったら大根、カブ、ネギ、ほうれん草、水菜、キャベツ、ブロッコリー・・・。



永田町のコンセプトショップでの野菜の直売


ー 結構なんでも作れるんですね!!吉岡さんは新たにチャレンジしている作物とかってあるんですか?

 去年は枝豆をたくさん作りました。枝豆って「湯を沸かしてから収穫しろ」って言われるくらいで、採ってその場で茹でると香りが凄いんですよ。今年は、友達で洋服関係の人がいるので彼らとコットンを育てることにしたんです。でも初めて作ってみたらすごい大変で、結構広くやったんですけど、これでどのぐらいできるんですかって聞いたら「タオル1枚いかないぐらい」って言われて(笑)。そのうちタバコとかやってみたいです。


ー ひとつの野菜収穫までどのくらいの期間がかかるんですか?

 ほうれん草とか小松菜だったら2ヶ月とか。



ー えっ!!そんなに早いんですか!!それなら子どももすぐに育ったのを見れるから嬉しいですね。

 そうですね。でも、長いものは長いですよ。たとえば、ナスとかトマトは3月くらいにまず種を蒔いて芽を出してから、それを移植して1,2ヶ月ぐらい育てま す。畑に植え始めるのは5月中旬頃で、そこからだんだん大きくしていって、1番最初に花が咲いてそこに実をつけて、最終的に11月ぐらいまで採れます。下から上という流れで何度も花が咲くんですけど、大体3回目から5回目ぐらいが1番美味しいんですよ。最初はまだ味がそっけなくって、3,4回目は1番味が濃くて美 味しいんですけど、最後の方になってくると、木としてもう死ななきゃいけない時期だから種が多くなるんです。だから全体を通してやると、その違いが分かって面白いですね。




ー そうやって教えてもらいながらやれるなら、楽しみながらできますね。東京にいるとそもそも畑もないし、どうやって野菜ができているのかも子どもたちは知らないですよね。知らないことが増えると、農家になろうという人もどんどんいなくなるので、手軽にできるのはいいなって思いますね。

 野菜ってそんなにつくるのは難しくないんですよ。難しいんですけど、ちょっとしたことを覚えるだけなので。例えば、種を蒔いたり農薬を撒く時期はタイミングさえわかれば、誰でもできちゃうものなんです。1年間かけて畑をやれば野菜のことが分かるし、何故植物が成長するのかというのも分かります。ちなみに、 畑を借りてくれている人は子どもがちょっと物心がついたくらいのファミリーが多いですね。あとは定年退職した方ですね。





ー 私、小学校1年生の娘がいるんですけど、料理に出てくる野菜とかスーパーに並んでいるものしか見たことがないので、この前長い葉のついた大根を見て「何これ?」ってなっていました。大根がどうやって育つかということも知らなかったんです。買えばいいっていう発想だと、作っている人がいるから食べることができるという感謝の気持ちを持てなくなるので、娘には作ることの大切さを知ってほしいなって思います。そんな小さな子どもたちのために活動されていることはあるんですか?

 うちの集落だと千葉周辺の幼稚園の芋ほり体験をやっています。うちの地域に若手のグループがあって、そこで幼稚園向けのサツマイモ掘り体験はやっているんですよ。まあ地元の幼稚園が多いんですけど、いろんな幼稚園がうちを使ってくれています。1年中やっていますし、もっと都会の幼稚園の方からも積極的に連絡をくれたらなって思います。



松戸のあるMAD CITYでの野菜の直売




柏YOL Cafe Froschで、吉岡さんが生産した野菜を自分で料理してお客さんに味わってもらう様子


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吉岡 龍一

吉岡 龍一RYUICHI YOSHIOKA

PROFILE

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1988年12月10日生まれ
千葉県松戸市出身

日本大学法学部在学中にNPO法人アサザ基金のインターンスタッフとして1年間活動し、地域の中で生きものが循環することのできるまちづくりを経験する。
卒業後は、地元柏で農家になることを目指し、農家のもとで研修をうける。
2013年度より柏市鷲野谷集落で営農を開始する。
畑で野菜を栽培するだけでなく、農村集落を盛り上げる活動として農業体験農園「わしのや農園」の運営をサポートしてる。
都市と農村の物理的距離が近い柏だから達成できる、農村集落の中で農を通して市民が豊かな暮らしをできる場を模索している。

また、EDGE HAUS.IIcのメンバーとして柏の街のまちづくりにも関わる。
コミュニティカフェやコワーキングスペースの運営を通して、おかげ様サイズの街を実感できる地域暮らしの提案を行っている。



EDGE HAUS
http://edgehaus.jp

by 堀内 美乃
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