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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 021
RYUICHI YOSHIOKA
February 03, 2015

r-lib | 堀内 美乃 × 吉岡 龍一 農業は人間が生きる上で一番シンプルな営み

GENRESArrow地域

農業は人間が生きる上で一番シンプルな営み

千葉県柏市で農業を営む吉岡さん。農家の息子でもない吉岡さんが農業を始めるには、その地域の課題を見つけ一緒に解決していくことが重要だったと語ります。農業を通して地域の多くの方達と支えあって暮らしていく。それは日本人の暮らしを追求した吉岡さんなりの答えでした。

Reported by Yoshino Horiuchi



ー 吉岡さん今日はよろしくお願いします。さっそくですが、現在の活動内容を教えていただけますか。

 仕事は大きく二つしています。まずは農業をやっていまして、畑を耕していろんな野菜を育てています。もうひとつは、柏という地域を盛り上げる活動をしているEDGE HAUSという会社を共同で運営しています。具体的には日替わりで店長が変わるカフェや、様々な人が利用できるコワーキングスペースの運営をしたり、自転車サイズの小商いを展開するPEDAL CAFEというプロジェクトを行っています。





ー 兼業農家という形で農業をされているんですね。週どのくらいの割合で、会社のお仕事と農業を分けているんですか?

 仕事の時間の6割ぐらいは農業です。1日の中でも日中はずっと畑にいてEDGE HAUSの仕事は夜にやることが多いですね。

日本人の生活は果たして本当に豊かなのか


ー 1日の中で分けているんですね。農業をされるようになったきっかけはなんですか?

 もともと大学の時に農業の勉強をしていたわけでもなくて、興味もなかったんです。大学生の時は国際協力に興味がありました。2,3ヶ月インドに行って農村の治水を構築するプロジェクトに携わっていて、それを仕事にしたいなって思っていたくらいです。そこで、ある村に滞在していた時に、すごく貧しかったんですよ。貧しいっていうかテレビもスーパーも無いし、牛乳もその場で絞って飲むみたいな生活をしている人たちがいました。そこでは日本人って凄くリスペクトされるんですけど、その時にふと日本人の今の暮らしを見返したんです。彼らの生活に比べて日本人の生活は果たして本当に豊かなのかと。それからは海外に出て日本人として仕事をするよりも、日本にいて日本人らしい仕事ができたらいいと思うようになりました。日本人らしいとか日本の良さってなんだろうって考えると、自然を崇拝する文化もあるし、自然と調和する生き方だなって思ったんです。それなら環境保全だと思って、茨城にあるNPOで大学生インターンという形で1年間働きました。そこの地域では学校に、授業の一環として田んぼと畑があったんです。そこで環境教育というものが自然に行われていて、凄くいいなって思いました。それを仕事として地元でやりたいなって思ってやり始めたんです。




ー そこから農業を自分でやろうって思ったんですか?

 そうですね。親も別に農家でもないので自分でやってみようかなって思って。


ー えっ?そうなんですか?実家が農家じゃない方が農業を始める時って何から準備を始めるんですか?凄く大変そうですね。

 やりたいようにやるのは結構難しいですね。地方って田舎に広大な土地があって農家をやる人がいないので、誰でもウェルカムな感じで行政がバックアップとかもしているんですよ。外部の人を受け入れて、その地域で農家を育てるというプログラムがあるんです。だから地域を選ばずにそういうのに任せちゃえば割と誰にでもできます。でもうちの地元は、親が農家じゃなくて農業を始めた事例っていうのが土地無しで3人ぐらいしかいないんですよ。基本的には受け入れてもらえないんですよ。







ー 自分のやりたい場所でやろうと思うと難しいんですね。

 難しいですね。僕の場合はまず市役所に行きました。大学生の時に「農家やりたいんですけど、どうしたらいいですか?」って言ったんですけど、うちでは受け入れられないから、県ごとにある農業大学校に行ってから挑みなさいって言われました。僕は農業大学校に行っても意味ないと考えていたので、他の方法を模索していたら農家の人を紹介してもらえました。そんな感じで1年間様々な農家の元で研修して、そのつながりで畑を貸してもらい、徐々に耕す畑の面積が増え今に至ります。


ー その中で辛かったことや大変だったことってありますか?

 辛かったことはお金が本当にかかるっていうことですね。苗や種を買ったりするんですけど、それは微々たるもので、機材が凄くお金がかかるんですよ。ある程度貯金していたんだけど、すぐに無くなってしまって大変でした。農業って畑だけじゃダメで、畑にいる時間って実は少ないんですよ。極論、畑に種を蒔いて育つのを待つだけじゃないですか。育てたものを収穫して袋に詰めて出荷する工程のほうが意外と多いんです。そのための小屋とか、トラクターですね。トラクターは新品で買うと高いですよ(笑)。500万くらいしますね。あとはうちの集落だと、そんな田舎じゃないのに、なまりが激しいんですよ(笑)。激しいというか田舎の人って言葉を省略するんですよ。だから何を言っているのか分からないことがよくあって、それで少し行き違いになることはあります。「この前そう言ったじゃないか」って言われて、あ〜そういう意味だったんだ、ってなりますね(笑)。



EDGE HAUSで運営しているコワーキングスペースNoblesse ObligeでPC作業の最中



畑で肥料を撒いている吉岡さん


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吉岡 龍一

吉岡 龍一RYUICHI YOSHIOKA

PROFILE

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1988年12月10日生まれ
千葉県松戸市出身

日本大学法学部在学中にNPO法人アサザ基金のインターンスタッフとして1年間活動し、地域の中で生きものが循環することのできるまちづくりを経験する。
卒業後は、地元柏で農家になることを目指し、農家のもとで研修をうける。
2013年度より柏市鷲野谷集落で営農を開始する。
畑で野菜を栽培するだけでなく、農村集落を盛り上げる活動として農業体験農園「わしのや農園」の運営をサポートしてる。
都市と農村の物理的距離が近い柏だから達成できる、農村集落の中で農を通して市民が豊かな暮らしをできる場を模索している。

また、EDGE HAUS.IIcのメンバーとして柏の街のまちづくりにも関わる。
コミュニティカフェやコワーキングスペースの運営を通して、おかげ様サイズの街を実感できる地域暮らしの提案を行っている。



EDGE HAUS
http://edgehaus.jp

by 堀内 美乃
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