# 014
KENTA KOUTA
November 30, 2014

GENRES
文化
乗っかってみたらどこかに感動はある
ライブのあと、生徒会長に「最初は悲しみがあったけど、今こうやってライブを聴けてすごく感動して力になりました」と泣きながら言われて、泣いてしまったという2人。それ以降もずっと被災地に足を運んで歌い続けている。
Reported by Hiromi Kageyama
ー 私が行った被災地は相馬市なんですが、仮設住宅に住んでいるおばあさんに話を聞きにいったら、「家族も家も流されたんよ~!!」ってあっけらかんとしていました。まだ震災からたった3年しか経っていないのに、本当に被害にあった人たちはこんなにも明るく頑張っている。それなのに自分は本当に何をしているんだろうって。何がつけまつげや!!って思ったんですよ。つけまつげ買うなら、なんかできるやろ自分!!って(笑)。もっとできることがあるだろうと思って、自分が悔しかったし、ムカつきました。特に芸能人の方とか有名な方とかって、今、力使わなかったら何に使うの?ってすごく思いました。知名度と自分の居場所がすごい所にいる人が被災地のために発信したら、何万人もの人に伝えられる。もっと意味があることできるだろうなって。
[康太]被災地の方が言っていたことで印象的なものがあって、「みんな東北に行くってなると、復興支援をしに行くってなるけど、そうじゃなくて旅行に行くって気持ちで来て」って言われたことがあるんですね。向こうの場所に行って、向こうのモノを好きになって、向こうで遊んで帰る。つまり、向こうでお金を使う。向こうにお金が落ちるようになるのが大切なんじゃないかなと。だから俺らも東北にプライベートで遊びに行って、向こうでお土産をたくさん買って帰って、向こうのモノをこっちで配るというのをやっています。
ー 被災地に行ったときにもらったものとかありますか?
[康太]あ、これ、ひろみちゃんにプレゼント(笑)。
[ 写真:思い出の品 気仙沼の絵本作家さんが書いてくれた似顔絵をプリントしたTシャツ ]
ー まさかのプレゼント(笑)。これ健太さんがよく着ているやつじゃないですか!!
[康太]向こうの人が書いてくれた似顔絵をTシャツにしたんです。売り上げの一部は寄付しています。
ー これやばい。かわいいー!!
[康太]気仙沼の絵本作家の人が書いてくれたんだけどすごい嬉しかったです。俺らが気仙沼の小学校に行ったときに小学校6年生だった子が、今は中学生になってるんですが、中学のテニスの練習でこれ着てくれてて。すごい宝物のように着てくれていて嬉しかったなあ。
ー 今着ていいですか?(笑)。嬉しいですよねそういうエピソード。
[ 写真:被災地の方にもらったもの ]
[康太]これはその絵本作家さんの娘さんが描いてくださった似顔絵です。(上写真の左下)
俺らがピンポンっていう居酒屋で打ち上げしているときにずっと紙とペンで書いてくれて最後プレゼントって。被災地の方って必ず何かくれるんですよね。ひろみちゃんも何かもらってたよね?
ー そうなんです。話をしてくれたおばあさんたちが野菜ジュース持ってきてくれたり。あと草むしりをやらせてもらったんですけど、糖分とって~!!って言ってアメを沢山くださったり。私もなんかお返ししたいと思って、何かないかめっちゃ探したんですけど、ちょうど財布に日光の水で清めた5円玉が2枚あったんですよ。だからそのおばあさん2人にお昼ご飯の時に手紙を書いて、その5円玉を手紙に包んでお守りって書いて渡しました。
[康太]へぇーいいね!!向こうの人はそういうちょっとした贈り物でも、当たり前のことをしていると思っているよね。やっぱり震災で当たり前だったものがなくなって、普通に家のベッドで寝られる、普通にキッチンで料理を作れる、みんなで食卓囲んで食べられる、そんなことが全部なくなってしまったからこそ、当たり前の大切さを知っているんだと思う。だから、感謝する気持ちや返そうとする気持ちが強いんじゃないかなぁ。
俺らは実際に東北で被災するという経験をしたわけじゃないから、そういう当たり前の大切さに気付きにくいけど、東北の人たちが伝えたいことは、ここへ来てそれに気付きなさいっていうことだと思うんです。私たちが経験を通して知ったから、あなたは経験する必要はない、ただ教えてあげるからここへ来なさい、って言われてる感覚を俺らは行くたびに持ちます。
[写真:気仙沼の小学校でライブをした時に貰った手紙 ]
あとこれは以前ライブした学校からお礼としてもらった手紙です。ライブをし終わった後、代表の生徒からお礼の言葉ってあるじゃないですか。この時は生徒会長が俺らの前で、「今日はありがとうございました。最初は悲しみがあったけど、今こうやってライブを聴けてすごく感動して力になりました」って泣きながら言ってくれて、俺らも泣いてしまったんだよね。準備していた言葉ではなくって、自分の言葉で言ってくれたのは、忘れられないよね。
ー 何かをやりたいけど、いろんなことが邪魔をしてできないことってあるじゃないですか。その方に向けてアドバイスとかはありますか?
[健太]乗っかるっていうのが大事だなって思いますね。乗っかってみたら、そのどこかしらに感動がありますしね。人は自分ひとりの力じゃ何もできないけれど、みんなが力を合わせたらものすごい力になりますよね。自分にはできないことはたくさんあるけれど、自分にしかできないこともあると思うんです。だから自分ができること、それを使ってくれる人にまずは乗っかってみるってことが何かを始める一歩になると思います。
[ 写真:健太康太も働く、下北沢Cafe KICKの店長マー君は同郷の親友 ]
[ 写真:健太康太と被災地へのライブも同行するというマー君。被災地の中学生に大人気だとか ]
ー 健太康太さんにとって音楽とは何ですか?
[康太]俺らは完全に音楽に救われたから、「救いの手」ですかね。だから俺らが救われたもので、誰かを救いたい。ジョン・レノンの『imagine』みたいな曲を作りたいですね。俺らは売れたいって思っています。なんで売れたいかっていうと、全国にいる人、より多くの人に歌を届けたいから。80歳ぐらいになったときに孫がきて「今日おじいちゃんの曲を学校で習ったよ」っていうのが夢ですね(笑)。結婚まだですけど(笑)。
ー いいですね!!これからも目標に向かって頑張ってください!!応援しています!!
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