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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 007
KENJI SEKINE
September 15, 2014

r-lib | 豊田 麻子 × 関根 健次 人と人を繋いで社会の課題を解決

GENRESArrow国際協力環境

人と人を繋いで社会の課題を解決

福岡の海で採ったヒジキ。季節の食べ物を自分で採って食べることで消費行動に対する意識はより深まる。

Reported by Asako Toyoda

買い物の仕方を変える事、またはその物との付き合い方を変える事


— 自然を守るっておっしゃられましたけど、身近なことで出来そうな事は何かありますか?

 誰もが簡単に出来る事の一つは、買い物の仕方を変える事、またはその物との付き合い方を変える事ですね。買う物を選ぶ事によって、その先の状況を変えられるんですね。例えば今日、僕はペットボトルを買うのをぐっとこらえて、買わずに来たんですね。大体やっぱり移動してると飲みたくなるし、カバンのどっかに入れときたいんですけど、でもそのちょっとした欲を満たすと年間365本になって、それを1億人がやると365億本になって、大量のエネルギーと大量のゴミを生み出すんですよね。燃やすかリサイクル。リサイクルって言っても、エネルギーを使ってリサイクルするから、同じようにエネルギーを使うし燃やしたほうが環境コストは安いと。またペットボトルの飲料でいうと、24時間自動販売機とかコンビニで冷やし続け、温め続けるといった事をやってるわけですが、これって本当に必要なのかって思うんですよね。便利だし、冷たいものは飲みたいけど、そこまでして、例えば原子力発電所を稼働させる事が私達のメリットになるのかどうか。ちょっと先、ひとつふたつ先ぐらいのレイヤーを見ていくと、ちょっと待てよと。ここちょっと我慢してマイボトルを持ち歩こうかなと思えるんです。物との付き合い方を変える事、買う対象を変える事。選択肢は色々あって、一人一人がスマートショッパー、つまり賢い買い物をする人になれば、自然環境保護とか全く違う結果が社会全体に現れるんですよね。

これなら私にも出来るし、やってみようっていう一つから始める


— 便利な物が簡単に手に入る状況にあるから、みんなそういう風になっちゃうんでしょうね。
ショップバックの話もそうですけど、最初は袋の数を減らす目的が、結局ファッションとしてみんなものすごい数買ったりと、結果思う方向に進まない事も多いと思いますが、そういう事に対して、もっと根本の価値観を変えられる方法とかないんですかね?

 何事も特効薬はないので(笑)。やっぱり自分が納得感を持って、これなら私にも出来るし、やってみようっていう一つから始める事だと思うんですよね。例えば僕自身で言うと、今言ったペットボトル飲料だとか、缶飲料を出来る限り買わない。たまに買っちゃうけど。厳密にやると疲れちゃうから。家庭で言うと、冷暖房をやめたんですね。扇風機、扇子、うちわ(笑)。冬は石油ストーブ使ってる。





— 上にヤカン乗せるやつですか。

 そうそう(笑)。それでお湯も沸かすからポットもやめましたね。ポットが消費してる電力って日本全国合わせると原発3つ分らしいよ!!要するに熱いお湯をいつでもジャーって出せる状況にするのに、原発3つ分必要なの。こうやって読み説いてくと、沸かして魔法瓶に入れとけばいいじゃんとか、選択肢はいくつかあるわけ。そっちのほうがかっこいいしスマートだと思うし、そういう精神性って昔あったと思うんですよ、風呂敷とか。それを取り戻していくのって大変な事じゃないし、自分の出来る事は何かしらあるはずですよね。


— 昔ながらの生活に回帰していくというか、便利だと思ってたことをやめてみてどうですか?何不自由ないというか、逆に満たされてる感覚とかありますか?

 生活のレベルは上がりますよ。質が高まるというか。何も意識せずに消費してゴミにするってところから抜け出せた精神的な達成感。あ、ちょっと成長出来た、みたいな。例えばペットボトルをやめたことで結果、ゴミを出す労力や罪悪感から解放され、経済的にも健康的にも見直すようになりました。


— おにぎりとかも、コンビニで安く手に入るけど、色々な添加物とかを考えると、家でお米炊いといてお塩ふったほうが体にも良くて美味しいと思いますしね。

 やっぱり食べるものを選ぶ事によっても変わっていくよね。結局ファストフードチェーンとか、スーパーで売られてる冷凍食品とか、長期間保存して長期間運ぶ為にどんな添加物が入ってるかよくわかんないし。近所の農家が作った市場みたいな所で買うと、パッケージされてない分ゴミが減り、食べ物も無農薬を選べば健康的になり、美味しくて新鮮でかつ自分は健康になれるっていう選択ができますよね。僕は今住んでる福岡で、色々自分で食材を得られるスポットを開拓してて、週末とか暇があれば大体海に行って、釣りをしたり、あさりやワカメ、ひじきを取ったりとかしています。



自然な所に身を置いて体感する事によって、自然の限度を知る事ができる


— すごい!!自給自足ですね(笑)!!

 お金で買えない価値がある、違う喜び、つまり質なんですよ。自然の豊かさにすごい触れて感じられるんですよね。季節が合わないと取れないものばかりなので、ワカメは春先じゃないと取れないからこの時期に取って1年越そうとか。その自然のリズムがすごい繋がっていて、スーパーマーケットで買うのとは別次元なんですよ。


— 都会で生活してると年中どんなお野菜も手に入るので、トマトっていつの時期だろうとかわかんなくなっちゃいますけど、海外で生活してると、季節ごとに置いてあるものが違って、やっぱり日本って便利だと思いますね。

 これってすごい重要なポイントだと思うんです。そういう自然な所に身を置いて体感する事によって、自然の限度を知る事ができる。そうすると限りある自然資源や恵みへの感謝の気持ちや、それを守らなければいけないという思いが出てくる。そこの意識のタガが外れて、際限ない便利さを求めてしまうのが現代文明の悪いところだったんですね。無意識だとみんなそうなっちゃうんです。無意識に電気を使い、無意識にコンビニ行き、無意識に買い物し、無意識にゴミを出し、それが当たり前になる。24時間営業の店がたくさん出てきても、便利だなぁって気持ちで終わっちゃうけど、そこで、その便利さって本当に必要なのかな、どんな影響を社会に与えられるかと考えていく必要があると思います。


自分に正直に、真っ直ぐに、心に従う



— なるほど。便利さとは何かを知る必要があるということですね。そのように周りに流されず、社会問題の解決のために活動をされている関根さんですが、人生の中で大切にしている事を教えてください。

 また難しい質問ですね(笑)。う〜ん。自分の心に正直っていう事ですかね。自分に正直に、真っ直ぐに、心に従うっていう事。やっぱり、おかしいなって思う事はちゃんとおかしいと思ったり、正さなきゃいけないと思った事はしっかり自分自身が正していく。自分をだまさずに、少しでも周りにいい影響を与えられるような人間になりたいですよね。





— それでは、ユナイテッドピープルが開催する国際平和映像祭について教えて頂けますか?

 はい。まず、 9月21日は何の日か知ってますか?ピースデーと言います。それではピースデーってどんな日でしょうか?


— 少し伺いました。イギリスのある男性が、まずは1日だけでいいからみんな戦いをやめようと言って始めた活動が、徐々に世界中に広がり、それを関根さんが日本でなさっているんですよね?

 その通りです。かみ砕いて言うと、国連が毎年1日決めた国際平和の日、通称ピースデーなんですね。つまり国連の日ということです。それが9月21日なんですが、おっしゃったように、その日だけでも戦争をやめて平和な時を過ごそうと、そしてその1日を、365日に広げていこうって事ですね。毎年そのピースデーに国際平和映像祭という映像イベントを開催しており、主に若い学生達に呼びかけをして、世界各地から平和をテーマとした映像を集めてるんです。平和には色んな捉え方、考え方があるので、その映像をみんなで観て共有し、その色んな世界の平和表現を知り理解し合おうという目的の国際平和映像祭です。


— 当日は何本くらいの映画を観られるんですか?

 だいたい選ばれた10本ですね。5分間の映画なので。5分間で10本なので50分です。
それぞれ制作をした監督が来てどんな想いでこの作品を作ったのかスピーチをし、審査員によって選ばれたグランプリには、世界旅行チケットが渡されます。そのチケットを使って自分が行きたい所に取材に行き、翌年の映像祭で発表するという流れになっています。
今年で4年目になるんですけど、1年目の2011年のグランプリには世界1周チケットがプレゼントされ、世界中を7か月以上旅をして、そこで撮った作品を翌年発表しました。去年のグランプリはフィリピンに行ったので今年その作品を発表する予定です。今年の募集はもう締切りましたが、世界中から応募がありました。もちろん日本の作品が多いですが、スペインやコスタリカ、イラン、アフガニスタン、ベトナム、韓国、中国など、色んな国から応募されました。


— その中で、1番インパクトのあった作品をここで教えてもらえますか?

 つい最近だと、イランからの作品ですかね。やっぱり戦争を身近に体験しているので、映像表現がすごくて、日本からはこういう作品は出てこないだろうな、という表現方法でしたね。
 9月21日の日曜日に横浜で開催するので、実際に会場に来て頂けると作品が観られますし、上映された作品はすべてYouTubeでも観られるように発信する予定です。またピースデー当日に合わせてピースデートークもしますし、ライブや、学生を中心とした若者達の演奏も見れます。


— 今回の関根さんの記事を見て自分も現体験作りに、中東などに行って実際見てみようとモチベートされる人もいるかもしれませんが、その人達に言っておきたい事、アドバイスはありますか?

 知るという事は大切な事なので、行ける場所に行くのはすごく良いことだと思うんですね。ただそれが紛争地となると命に関わる場所なので、自分一人だけの問題ではなく、家族や周囲、さらに、国の問題になりうるということを理解した上で、相当な覚悟、考えを持って行かないと。そもそも紛争地は入れないところが多いと思うけど、決して生半可な気持ちで行く場所ではないですね。


— ありがとうございました。9月21日はたくさん人が集まって平和を祈るような日にしたいですね!!












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関根 健次

関根 健次KENJI SEKINE

PROFILE

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ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役
一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事
ピースデージャパン 共同代表

1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒。本名関根健次。2002年にユナイテッドピープル株式会社を創業し、世界の課題解決を目指す事業を開始。募金サイト「イーココロ!」を運営。2009年から映画配給事業を開始。2011年から一般社団法人 国際平和映像祭を設立し国連が定めたピースデー9月21日に合わせて国際平和映像祭を主催している。2011年4月にNGOエクマットラと共にストリートチルドレン支援目的のレストラン「ロシャヨン」をバングラデシュ、ダッカにオープン。2013年よりピースデージャパン共同代表。著書に「ユナイテッドピープル」。2014年4月17日「号」を青龍とした。

受賞歴
2011年 iSB公共未来塾 横浜地区 第3回社会起業プランコンペ最優秀賞
2011年 iSB公共未来塾 最優秀賞(全国)
2007年 イーココロ!事業にて第2回「ソーシャル・ビジネス・アワード」 にて マイクロソフト奨励賞受賞。

ミッション
・人と人をつないで世界の課題解決を!(ユナイテッドピープル)
・核の廃絶(核兵器、原発)
・すべての人が共に幸せに生きることのできる社会の構築

宗教観
神道、仏教

趣味
狩猟採集民的なこと(釣りや潮干狩りや畑やキャンピング)。

by 豊田 麻子
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