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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 003
KOJI HAGIUDA
August 12, 2014

r-lib | 安岡 あゆみ × 萩生田 宏治 日台合作で交流を〜『南風(なんぷう)』映画監督〜

GENRESArrow国際協力文化

日台合作で交流を〜『南風(なんぷう)』映画監督〜

台湾の風景と人が人生を変えてくれる
心温まるサイクリング・ロードムービー

Reported by Ayumi Yasuoka


ー 監督になろうと思ったきっかけって何だったんですか?

 石井聰亙監督の『狂い咲きサンダーロード』を観た時に衝撃を受けて、自分でも撮れるんじゃないかと誤解して(笑)。もちろん簡単だからっていう意味じゃないですよ?それまでは映画って誰かに決められた物語を撮るもんだって思ってたんです。でもその映画観て、自分に近い感情を描いてもいいんだ!こんな撮り方してもいいんだ!って共感したんですよ。高校生だからそう思えたんでしょうね。それからすぐに学校の視聴覚室で8ミリカメラを借りて撮り始めました。


ー じゃあ高校生の時から撮り始めた?

 そう、でもいざ撮り始めるとヘタクソなわけ(笑)。それでいろんな映画を観始めるんです。どうやったら思ってることを映像にできるのかってことを観て学ぶんです。それでもなかなかうまく行かないので段取りを覚えないといけないなって思って、ピンク映画の現場に入ったけど実は特別なことがあるわけじゃないのがわかったり。自分で脚本書きながら助監督やり始めて大学中退したんですけど、こうなりたいって思ってそれを口にしてると、そんな自分に興味を持ってくれる人とか、自然と人の繋がりができてくるんです。会話の中の話題が次に出会う人とのきっかけになったり。そういう綱渡り的な感じで(笑)。でもこうなりたいって意識して話してると、新しい発見があったり自分に足りないものがわかるんですよね。今回も海外で言葉が違う人とやったらどうなのかな?と考えていたところに新しい出会いがあったわけですから。




思いやりを受けた時のあの感じって忘れないから、自分もきっかけがあれば誰かにそうしてあげたい


ー 口に出すって大事なんですね。監督にとって理想のライフスタイルってありますか?

 う〜ん。朝起きてから何かするとか、こういうところに住みたいとかそういう具体的なのは無いなぁ。つつましやかに生きる。雨ニモマケズ的に生きていけたらいいなと、自分のことを勘定に入れずに。そうできていないから思うんでしょうけど。


ー それはつつましやかですね(笑)。それでは人生で大切にしてることはありますか?

 いい子ぶるわけじゃないけど思いやりですかね。高校生の時に自転車でよく日本を旅してたんですよ。公園でテント張ったり、駅で野宿してると夕暮れ寂しいわけ(笑)。そんな時に助けてくれる人とかいると、ホントに嬉しいんですよ。牧場のおじさんがそこにテント張って良いよとか、ご飯食べさせてくれたり、トゲが刺さった時におばさんが酢をかけてとってくれたり。思いやりを受けた時のあの感じって忘れないから、自分もきっかけがあれば誰かにそうしてあげたいと今でも思います。映画の現場でも、人はすごく多いし別々の作業をしながら同じものを作ってるわけですから、スタッフ同士の思いやりは大切にしたいと思ってます。


ー 違う職種の人が同じ方向を目指す映画の現場こそ、思いやりは大切なんですね。

 そうそう、ベースにそれがあると俳優も変わってくる。チームに思いやりが無いと、技術的に高めることができても映ってるものは何か足りなくなる。良いものが撮れるためにもそれは必要ですね。相手に対する想像力と言うか。



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萩生田 宏治

萩生田 宏治KOJI HAGIUDA

PROFILE

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1967年生まれ。高校時代より8ミリ映画を作り始める。和光大学在学中より内田栄一、山本政志、林海象、河瀬直美作品の助監督を務める。93年に製作・監督・脚本を担当した『君が元気でやっていてくれると嬉しい』でデビュー。その後、テレビドキュメンタリー番組の演出を経て、J・MOVIE・WARS5『楽園』(98)がトロント映画祭、釜山映画祭等に出品され、00年芸術祭テレビドラマ部門優秀賞を受賞。西島秀俊を主演に迎えた『帰郷』(04)はナント三大陸国際映画祭、東京国際映画祭等に出品され、第18回高崎映画祭若手監督グランプリを受賞。成海璃子主演作『神童』(07)、主演の甘利はるなが第82回キネマ旬報新人女優賞を獲得した『コドモのコドモ』(08)と2作連続でさそうあきら作品を映画化している。本作は多くの映画ファンが待望した6年ぶりの新作。

by 安岡 あゆみ
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