# 003
KOJI HAGIUDA
August 12, 2014

GENRES
国際協力文化
日台合作で交流を〜『南風(なんぷう)』映画監督〜
日台合作で日本と台湾の交流を試みる萩生田監督。映画も日本人女性と台湾人が自転車での旅を通じて交流するという内容です。
Reported by Ayumi Yasuoka
ー 今日はよろしくお願いします。それでは、まず最新作の『南風』についてお伺いしたいのですが、日台合作ということなんですけれど、そこにいたるきっかけは?
この『南風』という映画は、制作会社のドリームキットさんがネット上のつながりだけではなく、海外での人と人との生身の交流を重視しようというコンセプトで企画開発を進められていました。自分としても言葉が通じないスタッフとやったらどうなるか興味があったのでオファーをお受けしました。
ー 言葉が通じない中で映画を撮るのは大変でしたか?
もちろん通訳さんはつくんですが、それでも自分の言葉がどう伝わっているかはわからないわけです。ちゃんと理解してくれてないんじゃないか、もしかしたら通訳さんさえも…とかいろいろ考えてしまうもどかしさが最初はありましたね。でも同じ人間だし、言葉が通じなくても(心は)伝わるという確信はありました。それと言葉が通じない俳優に、俺にもわかるようにしてくれ!と言ってました。例えば台詞だけ言うんじゃなくて動きで表現したらどうなのか?嫌いだったら背中向けるとかね。そういう身体表現に変えていくというのを積極的にやりました。あとは伝わってないんじゃないかと疑うより、伝わるまで説明するということですね。通じたかどうかは、演技のリアクションになって返ってくるのでわかるんです。だから普段演出するときと比べて何倍も言葉を使って説明しましたね。
ー そうなんですね。台湾って行ったことないんですけど、親日っていいますよね。実際どうなんですか?
みんな本当に優しかったですね。映画に出てくる壊れた鉄道橋は昔の統治時代に日本が作ったものですけど、農業改革とか水道や鉄道などのインフラを日本が整備したんです。台湾の教科書にもそう書いてあるそうで、それもあってか日本人に世話になったと感じる人が多いらしいです。もちろん統治時代はいい面だけではないんですけど。世話になったと思うのはおかしいと言う人もいますし。そこらへんは複雑ですが、それでもどこに行っても親日の印象は受けますね。
ー ちょうどわたしは主人公の藍子と同じ歳なんですが、自分がやりたかった仕事につけないという辛い境遇がすごくわかるなぁと。この歳になると夢を追いかけたいけどなかなか思い通りにいかないじゃないですか。でも夢が無いと人生面白くないなぁとか。
なるほどね。そういう時はどんなふうに折り合いをつけるんですか?
ー え〜どうしてるだろう?(笑)わたしは最後までやり遂げないと納得できないタイプなので、結果ダメでもそこで得た過程で別のものに繋がると思って、多少傷ついてもやり遂げますね。
いいですね。ひとつがダメでもそれを入り口にしてまた違うことに挑戦できますからね。