# 026
CHIYO NOMURA
May 18, 2015
May 18, 2015
GENRES福祉
「アトピーのおかげ」と言えるような人生を
アトピーのグローバルネットワークを築くための活動として、韓国で定期的に開催されている医療者・研究者のアトピーフォーラムで日本のアトピー事情を発表したときの様子。
Reported by Mana Hosokawa
ー 何回も苦しい経験をされて、自分がやらなきゃと思ったわけですね。
そのときはホントにそうですね。自分が本当に辛かったから。自分が楽になるにはこの仕組みが必要だと思って。その時はもうホントに具体的にシャンプーを知りたかったんです。「頭皮にアトピーがある人達、シャンプー何を使ってるか全員教えてくれ〜!!」みたいな感じで。Twitterとかで聞きまくっていました。
ー SNSっていろいろあると思うんですけど、Twitterが一番多いんですか?
かつてはmixiコミュニティだったんですよ。今でもわりとmixiにはアトピー系のコミュニティがあるんですけど、最近はTwitterがアトピーの人達がコミュニケーションを取る場としては主流かなと思いますね。それでもやっぱり私にとっては不十分だし、結局発信者や情報を提供する側のアトピー情報が見えないのでわからないんですよね。単純にこれオススメだよって言われても、その判断基準がない。その人がどのタイプのアトピーなのかがわからないから、そのシャンプーが自分に合うのかも判断がつかない。だからその基準がほしいと思ったんですよ。そこがアンティクルと他のSNSとの大きな違いかなと思います。
韓国政府が運営するアトピー患者向け施設とも連携し、日韓で活動を行っている
そこまでしてアトピーを完治させる人生を歩みたいのか
ー アンティクルを見たら、私はこのタイプだからこの対処が合う、というのがわかるようになっているんですか?
今は、カサカサ、真っ赤、ジュクジュクといった症状、症状が起きる部位、性別、生活シーンなどでカテゴライズしています。また当事者なのか、あるいは子どもがアトピーのママさんなのかといった属性や、鼻炎や喘息を患っているかなどの併発の有無も分かるようになっています。コンテンツチェックに関しては基本的にチーム内の当事者メンバーが行うか、場合によっては医師の方にしてもらっています。今後はアトピー歴何年か、どんな薬を服用しているか等そういった属性も全部わかるようにしていく予定です。
ー 完治よりもどうやって付き合っていくかということに重点を置かれていますが、完治を目指される方も多い中で、なぜあえて付き合っていくことをコンセプトにしたんですか?
アトピーを完治させるっていうのはその過程が、個人差はあるんですけど、かなりの犠牲と制限を伴うんですね。それができないからほとんどの人が完治できない状況にあるんです。生活を180度変えるという覚悟で、本格的に取り組んでも完治できるとは限りません。だから、そこまでしてアトピーを完治させる人生を歩みたいのか、という問題が出てくるわけです。
コントロールできる状況に身を置いて、やりたいことをやって人生を楽しみたい
ー すごいわかります!!完治させようとしたらホントに辛いですよね。
だったらコントロールできる状況に身を置いて、やりたいことをやって人生を楽しみたいっていう気持ちが自分にもありますね。ラーメンすごい好きなのにラーメン我慢してまで完治させたいと思わないとか。それはそれで選択肢だと思うんですよね。ひとつの価値観というか。
ー でもそれもその人次第ですよね。私はアナフィラキシー持ちなんで、卵とか乳製品食べたら救急車レベルなんですよ。そういう人は食べちゃいけないと思うし、ホントに人それぞれですよね。
韓国でのオフライン活動の様子。オフライン活動は韓国でも行っている
野村 千代CHIYO NOMURA
PROFILE
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株式会社untickle(アンティクル)代表。
韓国生まれの日本育ちのハーフで、大学卒業後は日本と韓国を行き来しながら仕事をするも2013年5月に持病のアトピーが悪化したことで寝たきり生活に。療養生活を送るなかで、当事者として不便に感じたことを解決するために同年11月に㈱untickleを立ち上げる。現在は日本と韓国を拠点に、一人でも多くのアトピー当事者が気軽に自分に合う情報を見つけられる場を提供するため日々活動中。