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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 024
HIROMI MASTUBARA
April 24, 2015

r-lib | 長谷川 あや × 松原 広美 サーフィンを通じて社会貢献を

GENRESArrow環境

サーフィンを通じて社会貢献を

 パプアニューギニアのテュピラサーフクラブのキッチンで働く地元の女性たち。彼女たちと一緒に料理し、ともに笑い、共有した時間は一生忘れられない。「自分の好きなことが結果的に誰かのため、社会のためになるって最高だと思います」と語る松原さん。サーフィンを通じて、パプアニューギニアの社会にも貢献している。特に女性の教育支援に力を入れている。日本人の考える「豊かさ」を現地の人の価値観に押し付けてはいけないので、バランス感覚が重要だ。

Reported by Aya Hasegawa



ー そこでどのように過ごされたんですか?

 ステイしたテュピラサーフクラブには電気と水(お湯はありません!)はあるんですけど、地元のセゴ椰子の木で建てたシンプルな蚊帳付きの部屋で寝て、日の出とともに起きて毎日サーフィンして、サーフィンの合間に小学校へ行って日本語の歌を披露したり、折り紙を教えたりしました。一番近い街まで車で2時間半かかるので、一度チェックインしたら、街に行くことはありません。近くにはレストランもバーも遊ぶところもありません。音は波の音だけで、現代文明とはかけ離れたシンプルでプリミティブな暮らしです。でも、その何もないところが、あらゆるものをリセットしてくれて、原点回帰というか、自分にとって良いデトックスになりました。昨年はじめて訪れてハマってしまい、今回は女性サーファー限定ツアーを企画しました。サーフィンを通して地域に貢献ができたらと思って、現地の女性たちと一緒にサーフィンしたり、子どもたちにサーフィンを教えて交流したり、さまざまなワークショップや文化交流、体験プログラムを実施しました。またサーフクラブのキッチンでも働き、地元の女性達に日本食を料理を教えたり、ゲストの食事をつくっていました。



幸せの尺度はそれぞれで、「豊か」とされる日本人的な価値観では一方的に計れない


ー サーフィンだけでなく、ボランティア活動もされるご予定なんですね。なぜ「女性」の教育支援なのですか?

 残念ながらパプアニューギニアには、まだまだ男尊女卑が社会に残っているので、女性が虐げられて教育の機会も少ないんですね。教育の重要性は浸透していなくて、若くして子どもを産んだら一生家事労働に追われてしまいます。男性は基本的に勤勉ではないので(笑)、女性が家族のためによく働きます。またいまだにDV(家庭内暴力)も珍しくありません。そうすると自分の家庭の外のことに目を向けて「私にはこんなことが出来る!!こんなこともやってみたい!!」という夢さえ描けないまま彼女達の人生が終わってしまうんです。もちろん、それが彼女たちの幸せかもしれないし、幸せの尺度はそれぞれで、「豊か」とされる日本人的な価値観では一方的に計れないものかもしれない。でも、同じ女性として産まれたからには、女性として輝き、女性に産まれてよかった、と少しでも希望をもってもらえたらと思っています。


クセサリーづくりのワークショップ



何かカタチにのこるものをお礼したくて、スタッフの名前を一人一人刺繍したタオルをプレゼント



ひな祭りにあわせて企画したガールズサーファツアー



日本食を作って現地の人に振舞うことも

サーフィンと出会ったからこそ、行けた場所


 昨年行った時に向こうの村長さんに、女性の目線でそういうことを現地の女性達に語りかけてほしいと頼まれました。「こういう女性もいるんだ」「こういう生き方もあるんだ」といった気付きやきっかけを与えて欲しいと。それが彼女達にとって、新しい気付きや勇気を与え、何かを踏み出すためのステップになるかもしれないと言われました。一般的には現地の女性は自分に自信がなく、男性に対しての恐怖感や劣等感をどこかで抱いているので、男性から語りかけるより、同じ女性の目線で語りかけて話を聞いてほしいと。それだったら私も少し何か出来るかなって思いました。今回訪れて感じたのは、一方的な支援じゃなくて、同じ時間や空間を共有すること、会話すること、触れ合うこと、感じることが大切だということです。きっとそのポジティブなバイブレーションは、彼女達の方も感じ取ってくれていて、お別れするときは涙が止まりませんでした。また来シーズンもいきます。
 もちろん波も最高で、しかも貸切なんです。でもそれだけじゃない魅力がパプアという場所です。何もない場所だからこそ、シンプルに生きることの意味や、自分のこれからのビジョン、目的などを改めて考えさせられる、そんな場所です。そういう強い思いもあって今のところパプアニューギニアは最高の海だと感じますね。サーフィン以上のモノがあって、行った人にしか感じられないのですが、サーフィンと出会ったからこそ、行けた場所なんですよね。サーフィンをやっていて、こんな場所とつながれて最高だと思います。








ー 大切にしているモットーは何ですか?

 モットーは楽しむこと、今しかないということ。サーフィンって、その瞬間にしかない波をそこに居合わせた人だけが楽しむことの出来る、すごく瞬間的なスポーツなんですよね。明日はもしかしたら波が無いかも、悪いかも、良いかもしれない。それは誰にもわからない。仮に予想は出来たとしてもそれをコントロールすることは出来ないから、今しか出来ない訳ですよね。今しか出来ないのだったら、今やるしかない。だからどんな状況でもその場を楽しめる身体的・精神的なゆとりを持ったベストな状態で常にいなければいけない。何でも楽しめる状態にしておくと言うと楽観的・堕落的に聞こえるかもしれないけれど、実は計算されているんです。今しかないと思った時に、健康状態が整っていなければいけないし、準備も必要。そう考えると、なんでもいつでもどこでも楽しめる人って実はとっても賢いと思うんですよ。適当そうに見えるけど(笑)。遊びも仕事も超一生懸命な人って器用だと思いませんか?見ていると仕事の効率が良くて、手際が良い。仕事も遊びと同じように楽しめるバイタリティとスピリットがある、というのはとても大事だと思います。


ー 松原さんのようなポジティブな方がいらっしゃると周りの人もやる気や元気がでてきそうです。私もパワーを頂いた気分です!!

 そうですね、そういったポジティブな連鎖に加わることも意識しています。悲観的な人には誰も近寄らないけれど、ハッピーなオーラを出していると同じオーラの人達が寄ってくる。こういう幸せの循環の中で、幸せな人に囲まれて幸せを貰いたいし、自分も幸せをわけ与えたいと思っています。

ー 今日はありがとうございました!!















<サーフライダーファウンデーションジャパンについて>

サーフライダーファウンデーションは、1984年に米国カリフォルニア州で発足し、世界20カ国、150個所以上で活動しており、全世界で50,000人のメンバーがいる国際環境NGOです。日本では1993年に設立され サーファー、ボディーボーダー、海を愛するすべての視点から、美しい海岸環境を子どもたちに残していくために、海岸の保護・保全、調査を行い、海の素晴らしさ、サーフィンの楽しさを教える環境教育の事業を展開しています。SFJの継続的な活動はみなさまからの寄付によって成り立っています。ぜひ会員登録の上、ご寄付をお願い致します。 






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松原 広美

松原 広美HIROMI MASTUBARA

PROFILE

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 国際環境NGOサーフライダーファウンデーションジャパン代表理事。サーフィン暦10年。ウィンドサーフィンに明け暮れた大学生活を終え、外資系金融機関に就職。2006年、 仲間とともに環境ウェフマカシン greenz.jpを立ち上げ、代表取締役に就任。同年SFJの活動にかかわりはじめ、六ヶ所再処理工場の本格稼働反対キャンペーンにボランティアとして参加。東日本大震災をきっかけに 、東京を離れ、自然に寄りそったシンプルな暮らしと波を求めて外房の森の中へ移住。
  J-WAVE “Lohas Sunday”ナヒケーターを経て、現在は、日本の美しい海岸環境を次世代に残す環境保護活動に従事している 。 サーフィン以外の趣味は旅と料理。

by 長谷川 あや
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