# 019
HIROAKI NAKAZAWA
January 18, 2015
GENRES地域福祉
歌舞伎町の保健室
お客さんはやはり歌舞伎町の夜のお仕事の方々が多いそう。世間一般のイメージとは違い、歌舞伎町で働く方々は義理人情に厚く、深夜の食事も賄いを届けてくれるとか。中沢さんもゴミ拾いなどを通して地域貢献をしているということです。
Reported by Mai Umeno
ー なんか楽しそうですね(笑)!!でも夜の歌舞伎町でお店やってて怖かった事とかないですか?世間的なイメージだとちょっと危ない感じがするのですが・・・
意外にないですね~。防犯カメラを設置しろって相当脅されてつけたんですけど、怖かったことは今のところないです。酔っ払いはいるんですけど、別にそれぐらいですね。悪そうな顔したお客さんが来て「兄ちゃん、この時間やってるの正解だよ。がんばれよ~」って言ってくれたりして意外と平和です(笑)。でも女性のお客さんに「来るのが怖かった」と言われることが多々あるので、そういう時は途中までお見送りをしたりはしますね。
周囲に宣言することで、自分を追い込んだ
— これからなにかを始めようとしている人へのアドバイスはありますか?
最後には勇気だと思うんですよ。いざ始めるとなると、やっぱり新たな環境に飛び込むっていうのは、なかなか踏み込めない方もいると思いますが。だから周囲にひたすら店を出すって言い続けました。周囲に宣言することで、自分を追い込んで後には退けない状況を作りましたね。
歌舞伎町の人間ってみんな本当に温かい
— 始めてから気付いた事ってありますか?
話には聞いていたんですけど、歌舞伎町の人間ってみんな本当に温かいです。負のイメージが強い街ですけど(笑)。近隣の方の助け合いが凄いですね。週に2回ぐらいお寿司屋さんの夜間担当の方がうちに来て賄いを差し入れでくださったりもします。
— 優しいですね!!そういうふれあいって凄く嬉しいですね。
近くの飲食店同士でも、「中ちゃん頑張ってるからなんかあったら行ってやってよ~。」って話をしてくれているらしく、非常にありがたいです。
— 一人で働いてるけど、一人じゃないみたいな感じですね。
そうですね。だからわたしも地域との繋がりは大切にしています。まさに今日もグリーンバードというゴミ拾いの活動があるんです。ゴミ拾いに参加している元ホストの方の所で働いてる友達が、わたしが新宿で薬局をやるというのを聞いて、参加を勧めてくれたんです。
— 働いて嬉しいことは人の温かみが感じられた時ですか?
歌舞伎町の人はもちろんなんですけど、やっぱり友達が支えてくれたり、陰ながら応援してくれてると感じる事が多々あります。それは本当に感謝しています。
“ 人 ”を見ることを大切にしていきたい。薬は最終手段。薬がなくても解決する事はいくらでもある
— 薬剤師を目指してる人にアドバイスってありますか?薬剤師の心構えじゃないですけど。
医療業界全般でよく言われるんですけど、この業界の人間って、医者は病気の事だけを見がちだったり、薬剤師だと薬の事だけに目がいきがちだったりするんですね。でも結局のところは人と人との関わりなので、“ 人 ”を見ることを大切にしていきたいし、そうあるべきだと思いますね。
例えばうちのお店でも、ちょっと来て相談だけする人もたくさんいます。たとえそこで薬を買わなくても、話を聞いてもらって満足する方もいるわけで、それはそれでわたしは役に立ってると思うんですよ。「処方箋ないけど睡眠導入剤を出してくれ!!」って言う患者さんが来たことがあるんですが、処方箋がないと薬は出せません。酔っ払ってて、ちょっと悪そうな感じの人だったんですけど、じっくり話を聞くだけ聞きました。確かに夜寝れないと辛いけど、病院行かないとどっちにしろダメだからと話をしたら、だんだんおとなしくなって、最後には「先生ありがとうございました!!」って言って帰っていきました(笑)。あくまで薬っていうのは最終手段だなと。もちろん薬で本当に解決出来ればいいですけど、逆に薬がなくても解決する事はいくらでもあるんです。
— 本当に保健室って感じなんですね!!そのうち漫画化とかされそうですよね(笑)。
「なんかここ落ち着くなぁ。歌舞伎町の保健室だね」とは言われますね。本当に顔だけ出して、コーヒー飲んで、話すだけ話して帰ってく人もいますけど(笑)。
— なにか伝えたい言葉はありますか?
やっぱり周囲の方への感謝の言葉ですね。なかなか本人に直接会って言えない方とかもいるけれど、皆さんに伝えたいなぁと。いつも本当にありがとうございます。
— ところでニュクス薬局のニュクスってどんな意味なんですか?
ニュクスってギリシャ神話の夜の女神なんですね。夜お困りの方に何か出来る事があればと思って。
— それでは最後に、中沢さんにとってニュクス薬局とは?
ニュクスの由来の通り、夜の女神ということで、夜間お困りの方を少しでも助けられる存在でありたいです。薬剤師が出来る範囲は限られていますが、1本の電話で解決することもあるんですよ。例えば、子供に間違えて2回薬飲ませちゃってどうしようと深夜に電話がかかってきたことがありました。そこでこちらで体重とお薬の量を計算して、「心配いらないですよ」と言ってあげることで安心してもらえるとか。些細なことでも他では出来ない事を出来たらと思っています。
ー 今日はありがとうございました。これからも頑張ってください。
営業時間:火~土曜日 夜8時~翌朝9時
(祝日・祝前日は休まず営業)
定休日:日・月曜日
TEL:03-5272-1991