# 012
AYAKA YAMASHITA
November 04, 2014

GENRES
ファッション
マイノリティが持つ力を芸術作品としてポジティブに発信
フィリピンの山岳地帯にいる先住民族とともに、『EDAYA』というジュエリーのブランドを立ち上げた山下さん。ご自身もマイノリティであるというバックグラウンドがある中で、どういう姿勢でそのエネルギーをポジティブに昇華してきたのでしょうか。
Reported by Mai Umeno
ー 今日はよろしくお願いします。それではまず現在の活動内容を教えていただけますか。
現在は、『EDAYA』というジュエリーブランドを運営し、フィリピンの山岳地帯にいる先住民族と一緒に、主に竹を使って、彼らの生き方にインスピレーションを受けた作品を作っています。
ー 『EDAYA』という名前の由来は何ですか?
『EDAYA』の由来はカリンガ族の言葉で、「Spirit from the East(東の精霊)」という意味で、現地の人達に大事にされている精霊の名前です。また、ロゴマークが日本の枝(EDA)になっているんですけど、自分達の考えてる事が枝みたいに広がっていきますようにという思いを込めています。あとは私と、現地で作っている職人さん、エドガー氏の名前のイニシャルも入ってます。
ー なぜフィリピンの山岳地の先住民族と一緒に作ることになったんですか?
フィリピンを旅している中で、カリンガ族という山岳地帯にいる先住民族に出会ったんです。その人たちの一部は出稼ぎのため、鉱山で働いていて、鉱山労働って聞くと過酷な労働みたいなあまり良いイメージが無いかもしれませんが、実際そのような状況の中で働く人達にもやっぱり夢があって、色んな可能性があって。特に私が出会ったエドガー氏はすごい工芸技術を持っていました。その技術を生かして一緒に何か出来ないかなと思ったんです。このままではその才能がもったいない、何か一緒に出来たら面白いなっていう風に思ったんです。
工房で制作中のエドガー氏
ー そんなきっかけだったんですね!!具体的にはどんなものを作られているんですか?
これを見てもらえればわかると思うんですが、そのフィリピンの山岳先住民族の暮らしや生き方にインスピレーションを受けて、デザインのコンセプトと現地の高い工芸技術を組み合わせた作品を作っています。2年前に『EDAYA』というブランドをフィリピンで立ち上げて、現在は主にステートメントジュエリー(※大柄でデザイン性の強いジュエリー)を作っています。今年9月にリリースした新作は3つのシリーズがあって、今わたしが着けているネックレスとピアスは「PULTCHUS」という竹と真珠のシリーズで、竹の根っこと18金と真珠を組み合わせて作っています。「PULTCHUS」はカリンガの言葉で「存在」を意味し、力強い女性とか、ありのままの女性をイメージしていて、「自分らしくていいよ」というメッセージが込められています。見ての通り、竹の根っこの断面をそのまま使っていて、さらに大きい真珠で存在感を示しました。カリンガでは竹は昔から暮らしの中で使われてきています。今はほとんど作られなくなってきていますが、エドガー氏はその地方の竹楽器の制作技術も持っており、その加工技術を昇華させたものと、組み合わせる事が出来ないかなと考えて生まれたものなんです。真珠はフィリピン産の南洋真珠で、白蝶真珠と呼ばれる最高級真珠の一つなんです。
「PULTCHUS」
ー すごく大きい真珠ですね!!確かにこの真珠は存在感がありますね。コンセプトとあってるような気がしますね。
なぜそこに「ありのまま」というメッセージをつけているかというと、先ほどの話の通り、元々現地の鉱山で働いていた先住民族と一緒に作る中で、「マイノリティ」という言葉がキーワードになったからなんです。マイノリティというとネガティブなイメージがあるかもしれないけど、いわゆる山岳先住民族とか障がい者とか、色んな意味で「普通」じゃないカテゴリーにいる人達に対して私はシンパシーを感じることがあったんです。
竹を使って演奏するカリンガ族の子どもたち
踊りを披露するカリンガ族の子どもたち
カリンガ族の村