r-lib読者の皆さん、こんにちは。r-libコラムニストの並木麻衣と申します。
社会のあちこちに原石のように散らばるロール・モデルたちを集めて紹介していく、そんな志のあるメディアに私なんかがコラムを書いていいのだろうか。そんな不安もありますが、これから私もコラムニストの一人として文章を綴らせていただきます。本業は、国際協力に励む一NGO職員です。
どうぞよろしくお願いします。
初回ですので、少しだけ、自分のことをご紹介させてください。
1984 年12月生まれの私が国際協力に目覚めたのは、大学受験に臨んでいた高校3年生から浪人1年生にかけての頃。当時、メディアで流れるイラク戦争のニュースを見て、「中東ってそんなに悲惨な場所なのだろうか」「こんなに人が死ぬのに、どうして日本の私たちはその重みを感じられないのだろう」と私は思っていました。
「きっと、普通に暮らしている人たちもいるに違いない」「だったら、私が彼らの言語を学んで取材して、彼らの等身大を伝えるジャーナリストになろう」。そんな思いから、大学ではアラビア語、中東、イスラーム、そして平和構築を学びました。
大学2年生の春休みには、バックパックを背負ってシリア・ヨルダン・パレスチナ・イスラルを旅しました。そこでの出会いがきっかけで、3年生の夏から4年生の秋にかけて、パレスチナのビールゼイト大学と、イスラエルのヘブライ大学へ留学しています。
2006〜2007年の当時、まだパレスチナではWi-Fiのある家の方が珍しい時代でしたが、幸いなことに我が家にはネットが入っていました。そこで私が毎日綴ってはネットに上げていたブログ記事が、地味ながらも毎日500人に読んでいただく「自分のメディア」の機能を果たしていました。
ブログに綴っていたのは、今日は大学でこんなことがあった、今日はラブレターをもらった、今日は痴漢に遭った、今日は検問所で待たされた……なんて、他愛のない日々のネタで、今思えば「恥ずかしくてもう読み返したくない!」という赤裸々な文章です(笑)。
それでも「あのブログを読んで自分も留学しようと思いました」「パレスチナのイメージが変わりました」というお声掛けを、あれから10年経ってもたまにいただいています。「こんなチャランポランな人間でも、パレスチナでやっていけるんだなぁ」くらいに思っていただけるなら、それで十分に意味があるようにも思います。(いや、でも、もう探さないでくださいね!(笑))
このコラムを書くことをお引き受けしたのも、それは決して「私がモデルだ(!)」なんてことを申し上げたいのではなく、「こんな奴でも、世の中渡っていけるんだなぁ」「そういう生き方も面白そうだなぁ」と、気軽に思いを馳せていただきたいからです。
世界って、遠くない。
中東は、そんなに怖くない。
国際協力は、誰かのためだけじゃない。
そして、一人ひとりが小さな努力で変化を作っていく世の中は、面白い。
私が日々感じるそんなメッセージを、幾つかのエピソードに分けてお届けしていきます。
拙い文章ではありますが、中東や国際協力業界に身を置くアラサー女子の体験したこと、考えたことを皆さんと共有し、またご意見をいただけたら、大変嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。